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服の暖かさを実現する「保温性素材」とは?
仕組みや注目を集める背景、話題の保温性素材5選をご紹介!

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保温性素材とは、一定の暖かい温度を保つ性質の素材を指し、機能性を持たせた化学繊維やそれを用いた生地である「機能素材」の一部として活用が増えてきています。本記事では、「保温性素材」の仕組みや注目を集める背景、今後知っておくべきトレンドの保温性素材を解説します。

保温性素材とは?

保温性とは一定の暖かい温度を保つ性質のことであり、外気との熱異動を遮断または抑制することによって熱源体の温度を一定に保つ機能のことを言います。反対に、冷たさを保つ性質とされているのが保冷性です。保温性と似ている機能として、熱を発生させる「発熱性」や発生した熱を蓄える「蓄熱性」というものもあります。

保温性は寒さの厳しい日本の秋・冬において重要な機能であり、洋服の素材としても多く活用されています。以下では保温性素材の仕組みについて解説します。

保温性素材の主な仕組み

保温性素材の代表的な仕組みは、素材の繊維内に熱伝導率が低い空気をため込むことで、温まった空気を逃がさないようにします。素材の繊維内の空気層が厚ければ厚いほど保温性は高くなります。

繊維内に厚い空気層を作る技術として、糸の内部を空洞にする「中空糸」というものがあり、繊維と繊維の間に空気を取り込むだけでなく、糸の内部にも空気をため込むことが可能です。これにより、高い保温性だけでなく、洋服の軽量化も実現できます。

この他の保温性素材の仕組みとしては、後ほど解説する「蓄熱保温」や「吸湿発熱」、「遠赤外線」、「電気による発熱」などを活用したものがあります。

保温性素材のトレンドとその背景

保温性素材のトレンド背景として、軽くて動きやすい機能性の高さに加え、毛皮など動物由来の素材の使用をやめる「アニマルフリー」という動きがあります。

例えば、暖かい服の代表例としてダウンがありますが、従来のダウンでは保温性が高い一方で重くなってしまったり、着膨れによって動きづらかったりといった欠点がありました。また、ダウンはガチョウやアヒルなどの「水鳥」の胸毛部分の毛を使用しているため、環境面の問題点も多くありました。

このようなことから、軽量で着膨れしない、かつ羽毛などの動物由来に頼らない「アニマルフリー」である保温性素材の開発が進んでいます

保温性素材の種類

保温性素材は主に以下の3種類があります。

天然繊維

1つ目は植物の繊維や動物の毛を原料とした天然繊維の素材です。

例えば、ガチョウやアヒルの羽毛を使用した「ダウン」や、羊毛を原料とした「ウール」、蚕の繭から作られる「シルク」、綿という植物を原料とした「コットン」などがあります。

特徴として、肌触りや着心地が良いという点が挙げられますが、一方で先述したようなアニマルフリーやサスティナブルへの対応など環境面への配慮が求められています

アパレル業界におけるサスティナブルについての情報は以下記事でご紹介しています。ご興味のある方はぜひご覧ください。


化学繊維

2つ目は、石油や石炭などを科学的に合成・加工して作られる化学繊維の素材です。
石油を原料とした合成樹脂のポリアミドから作られる「ナイロン」や、アクリルニトリルという有機化合物を原料とする「アクリル」、ペットボトルと同じポリエチレンテレフタレートを原料とした「ポリエステル」などがあります。

特徴としては、天然繊維と比較して安価かつ丈夫なことが挙げられます。また、従来の化学繊維は天然繊維よりも着心地が悪いとされていましたが、近年では天然繊維と混ぜることで天然繊維の魅力を持った化学繊維も多く開発されています

電気の利用で発熱する素材

3つ目は、繊維そのものが持つ機能とは違いますが、電気の利用による発熱で暖かさを実現する素材です。
主な特徴としては、衣服の中に電熱線といった発熱体を内蔵させることで、効率良く温度調整をしながら身体を暖められ、着膨れしにくい点が挙げられます。一方で、温度調節によっては低温やけどの可能性があるため注意が必要です。また、バッテリーによって重くなりやすかったり、充電が必要になったりといったデメリットもあります。

このように保温性素材にはさまざまなものがあります。次章では、今後のアパレル業界で働く方はぜひ知っておきたい話題の保温性素材を5つご紹介します。

今知っておくべき!話題の保温性素材5選

天然エコ繊維「カポック」

1つ目が、東南アジアに広く原生する樹木「カポック」の木の実から出る綿毛を活用した素材です。
木の実から採取するため森林伐採の必要がなく、栽培時にも農薬や化学肥料が使われていないことから、地球にやさしいサスティナブル素材として注目が集まっています
。保温性が高く、繊維が中空構造なため、薄くて軽い点が特徴です。

従来、カポックは繊維が短い性質から「紡績が難しい」という課題がありました。カポックの主な用途だった詰め物材料が化学繊維にとって代わられたことから、カポックの木の価値が減少し、伐採されている地域も多くありました。

しかし、紡績技術の進化によりダウンや綿の代替素材として価値が高まったり、活用が森林保全につながることから企業価値向上として利点があったりと、マーケットの拡大が今後期待されています。実際に、カポックを活用したアパレルのスタートアップも立ち上がっています。

カポックのようなサスティナブル素材については以下記事でもご紹介していますので、あわせてご覧ください。


ポリエステル100%の中綿素材「エコダウン」

2つ目は、ダウンの中綿に化学繊維を利用した「エコダウン」です。
従来のダウンの原料であるガチョウやアヒルの羽毛といった天然繊維を使わず、中綿にポリエステルといった化学繊維の最先端断熱中綿素材を使用しています

近年のトレンドであるアニマルフリーを実現しており、水に弱く自宅での手入れが困難であった従来のダウンとは違い、自宅での洗濯も可能です。また、透湿性が高いため汗をかいてもべたつきにくいことや着膨れしないことも特徴です。
主に、登山やキャンプなどのアウトドア用のウェアとして使用されており、今後、幅広い活用が期待されています。

太陽光を活用した「蓄熱効果のある素材」

3つ目は、蓄熱保温を活用した素材です。
太陽光の特定の波長を吸収し、熱エネルギーに変換する性質を持つ物質を繊維の内部または表面に固着させることで保温性を保ちます。日本のあるアパレル企業がこの蓄熱保温機能を持った素材を開発し、現時点でスウェットやジャージ、デニムなどに活用されています。

遠赤外線を活用した「光電子繊維」

4つ目は、人体から出る遠赤外線を活用することで保温性を実現する「光電子繊維」です。
光電子繊維とは、高純度超微粒子セラミックスが均一に繊維の中に練りこまれた素材であり、人体から出る微量の遠赤外線を吸収し、輻射(ふくしゃ)※1することで保温性を実現しています。
着用者自身の体温を利用するため、体温の変化なく、体に優しい暖かさを得ることができます。

※1輻射(ふくしゃ):熱エネルギーを持った赤外線や可視光線を含む電磁波によっておこる2つの物体間のエネルギー移動のこと

ヒートテックに代表される「吸湿発熱素材」

5つ目は「吸湿発熱素材」です。
吸湿発熱素材とは、皮膚から出る汗の水蒸気が繊維表面に吸着されることで、暖かさを得られる素材のことであり、ユニクロが開発した「ヒートテック」が代表です。
一度水蒸気を吸着すると長時間暖かくなる特徴が挙げられます。速乾性があり汗をかいてもすぐに乾く特徴がある一方で、除湿性が低いため多くの汗をかく際は冷えてしまう可能性もあります。

機能素材を知って服作りに活かそう!

本記事では、秋・冬にて暖かい「保温性素材」をピックアップしてご紹介してきました。消費者のニーズが多様化する昨今では従来重視されてきたデザイン性だけでなく、保温性素材のような機能素材の衣類が求められてきています。

以下記事で保温性素材以外の注目機能素材をまとめてご紹介しています。顧客ニーズに対応するためにも、アパレル業界の方はぜひご覧ください。


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