中国依存からの脱却が進むアパレル市場。
その理由と今後予測されるアパレル業界動向
「世界の工場」と呼ばれる中国は、さまざまな国の企業が工場を構えており、日本のアパレル業界も、生産拠点が中国に依存していました。しかし、新型コロナウイルスの影響をはじめ、さまざまな要因から脱中国依存が広まりつつあります。そこで本記事では、アパレル業界における「脱中国依存」に焦点をあてて、脱中国依存の主な理由や、今後の業界動向について解説します。
目次
高まる脱中国依存。その理由とは?
中国は、ヨーロッパ、米国、日本の3地域へのアパレル生産輸出国であり、世界のアパレル生産工場と呼ばれています。私たちの私生活において、衣類の生産元に「メイドインチャイナ」という記載がされていることも当たり前のように感じる方も多いでしょう。
実際に、経済産業省の調査によると、日本の国内アパレル市場における衣類の輸入浸透率は、90%後半を維持しており、中国の輸入に対する依存度は高い傾向にあります。
出典:経済産業省「繊維産業の現状と2030年に向けた繊維産業の展望(繊維ビジョン)の概要」
このような調査から、日本のアパレル市場は中国からの輸入に依存しきっていると思われがちです。しかし、実際には中国からの輸入が8割以上を占めていた2010年ごろからすると、輸入率全体の割合は年々低下しており、現在ではおよそ6割~7割ほどとなっています。また、中国からの輸入率の減少は日本だけではなく、米国も減少傾向にあります。
以降ではなぜこのような脱中国依存が進んでいるのか、その理由についてご紹介します。
実際に、経済産業省の調査によると、日本の国内アパレル市場における衣類の輸入浸透率は、90%後半を維持しており、中国の輸入に対する依存度は高い傾向にあります。
出典:経済産業省「繊維産業の現状と2030年に向けた繊維産業の展望(繊維ビジョン)の概要」
このような調査から、日本のアパレル市場は中国からの輸入に依存しきっていると思われがちです。しかし、実際には中国からの輸入が8割以上を占めていた2010年ごろからすると、輸入率全体の割合は年々低下しており、現在ではおよそ6割~7割ほどとなっています。また、中国からの輸入率の減少は日本だけではなく、米国も減少傾向にあります。
以降ではなぜこのような脱中国依存が進んでいるのか、その理由についてご紹介します。
①:人件費の高騰
1990年頃、円高による衣類の製造コスト削減や、安い人件費を求めて中国にアパレル生産拠点を移転する企業が増えました。しかし、昨今では、中国の急速な経済成長によるインフレや、労働人口の減少、国内企業の台頭により、人件費が著しく上昇しています。そのため、最低賃金が最も高い上海市では、2011年から2021年の10年間でおよそ2倍にもなっています。
このような点から、中国に生産拠点を移してもコストメリットが引き出せず、脱中国依存の流れが起きる要因となっています。
このような点から、中国に生産拠点を移してもコストメリットが引き出せず、脱中国依存の流れが起きる要因となっています。
②:SDGsによるファストファッションの見直し
中国にアパレル生産拠点を置いていた企業の多くは、低コスト化による大量生産・大量消費のファストファッション実現を目的としていました。
しかし、2015年9月の国連サミットで提唱された、2030年までの国際目標である「SDGs」や「持続可能性(サスティナビリティ)」によって、大量生産、大量消費のファストファッションは見直されつつあります。具体的には、アパレル製品の製造サイクルで排出されるCO2の量が、他の産業を大きく上回っていることや、衣服が大量廃棄されることが問題視されています。
国際的な動向については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
しかし、2015年9月の国連サミットで提唱された、2030年までの国際目標である「SDGs」や「持続可能性(サスティナビリティ)」によって、大量生産、大量消費のファストファッションは見直されつつあります。具体的には、アパレル製品の製造サイクルで排出されるCO2の量が、他の産業を大きく上回っていることや、衣服が大量廃棄されることが問題視されています。
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③:新型コロナウイルスによる影響
脱中国依存の動きが進んでいる要因のなかでも、新型コロナウイルスの世界的感染拡大は大きな要因の1つです。
中国では、新型コロナウイルス感染時にロックダウン(都市封鎖)が行われ、その影響で国内の生産や物流が長期期間停滞しました。これによって、多くのアパレル企業では、生産拠点が停止し、店頭商品が品薄になるなどの問題が生じてしまいました。
今後は、このような問題への対策として「リスク分散」の観点が重要視されるようになり、これまでの中国に依存していた生産体制を見直す企業が増えています。
中国では、新型コロナウイルス感染時にロックダウン(都市封鎖)が行われ、その影響で国内の生産や物流が長期期間停滞しました。これによって、多くのアパレル企業では、生産拠点が停止し、店頭商品が品薄になるなどの問題が生じてしまいました。
今後は、このような問題への対策として「リスク分散」の観点が重要視されるようになり、これまでの中国に依存していた生産体制を見直す企業が増えています。
④:世界的な物価の上昇
昨今の世界的なインフレや物価上昇、円安の進行もアパレル業界に大きな影響を与えています。このような情勢の変化によって、国内での生産を検討するアパレル企業が増えています。また、世界的な物価の上昇や円安の進行は、アパレル市場における脱中国依存だけでなく、アパレル業界にさまざまな影響を与えています。
具体的にどのような影響を与えているのかを、以下記事でご紹介しています。ぜひ、あわせてご覧ください。
ここまででご紹介したような理由から、脱中国依存は進んでいます。
次章では、アパレル企業が脱中国化に向けてどのような動きをするのかをご紹介します。
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ここまででご紹介したような理由から、脱中国依存は進んでいます。
次章では、アパレル企業が脱中国化に向けてどのような動きをするのかをご紹介します。
脱中国依存からの今後の業界動向
チャイナプラスワンからプラスワン中心へ
脱中国依存が進むアパレル業界では、人件費が比較的安い東南アジアや、他の拠点に生産拠点を分散する「チャイナプラスワン」の動きが活発になっています。
特に、2022年1月に発効された地域的な包括的経済連携(RCEP)協定による、ベトナムやカンボジアからの関税の減免や輸出入の手続きの簡素化によって、分散化を進める企業が増えています。
東南アジアへの生産拠点の分散は、当初、中国における生産を他の国で補填する(プラスワン)の意味合いが強くありました。しかし、今後はこのプラスワンの生産拠点をメインとし始めるアパレル企業が増えていくと予想されています。
特に、2022年1月に発効された地域的な包括的経済連携(RCEP)協定による、ベトナムやカンボジアからの関税の減免や輸出入の手続きの簡素化によって、分散化を進める企業が増えています。
東南アジアへの生産拠点の分散は、当初、中国における生産を他の国で補填する(プラスワン)の意味合いが強くありました。しかし、今後はこのプラスワンの生産拠点をメインとし始めるアパレル企業が増えていくと予想されています。
脱中国依存における小島衣料の動き
チャイナプラスワンやプラスワン中心の生産を進める方法として、脱中国依存の対策をしている会社に生産を委託する方法があります。外部委託をすることで、生産や物流の長期間停滞、人件費のコスト増加などのリスク分散につながり、自社生産による影響を抑えることができます。
小島衣料では、生産拠点として中国以外にアセアン・東南アジアなどへ生産箇所の分散を行っています。アパレルのパターン作成やグレーディングの業務においては、中国湖北省や中国上海の他、ミャンマ-ヤンゴンに小島衣料専属のCADセンタ-を設けています。
小島衣料が提供するサービスの料金表は以下のリンクでダウンロードできます。
ご興味のある方はぜひ一度ご覧ください。
小島衣料では、生産拠点として中国以外にアセアン・東南アジアなどへ生産箇所の分散を行っています。アパレルのパターン作成やグレーディングの業務においては、中国湖北省や中国上海の他、ミャンマ-ヤンゴンに小島衣料専属のCADセンタ-を設けています。
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